異性同名
好きじゃない、
好きじゃないよって
意地になって気持ちを抑える。
どうして気持ちを抑えるのかも
よく分からないけど、
どうしてこんなに
瑞樹が気になるのかもよく分からない。
ちょっと悔しい。
ちょっと後ろめたい。
「知大なんか嫌いだから、
 知大と仲良しの瑞樹も嫌い」。
これを言い訳として採用。
瑞樹なんか
あたしの世界には入れてあげない。
と、考え事をしていたら
先生に名前を呼ばれた。
数学の授業中だったか。
128ページの問2の②…?
授業聞いてなかったんだけど。
斜め後ろから小さな声で
「12a」と聞こえた。
咄嗟に「12aです」と答える。
正答だったみたい。
座って斜め後ろを振り返ると
嫌な奴の顔があった。
「瑞樹か ありがと」。
低めのトーンでそう言って
前へ向き直った。
こんな時に優しくされたくない。
瑞樹なんか嫌いだってば。
好きじゃないってば。
とか考えながらまた目で彼を追う。
何これ。
頭が瑞樹でいっぱい。
おかしい。
あたしの世界に、
あたしと同じ名前の新入りさん。
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop