恋とか愛とか
次の日。
私は陸上部のグラウンドの前にきている。
今日も女の子たちがグラウンドの横に集まり
差し入れやら、カメラを片手に賑わっている。
「きゃーーっ!優人がこっち見たぁ!」
「違うわよっ!優人は私と目が合ったのぉ!」
………………。
いつもと変わらない。
部活が終わって
部員たちがゾロゾロとグラウンドから出てくる。
その中に
私の大好きなあの人が見えた。
「ぁ、葵っ?」
「し、下田先輩……お疲れ様です…………。」
「な、なんで……」
そんな問いかけに答えようとするより早く
横にいた高橋先輩が私に声をかけた。
「ぁ、葵ちゃん…………。」
……そうだ。
私が今日用事があるのは
高橋先輩なのだ。
「た、高橋先輩っ。あの……この前の……」
「…………優人!俺葵ちゃんと帰るからさ!じゃな!」
「は?ちょ、どーゆーことだよ?」
「いーからいーから!また明日なっ!」
「ちょ、葵?!」
名前を呼ばれて振り返ろうとしたけど
高橋先輩に腕を掴まれて
振り返ることが出来なかった。