死神と吸血鬼を好むようになった人間の過程
『あんたは?』という意味を込められた視線が、向けられる。


「道に迷いました」

確かに、初めて赴いた場所である。

しかし、一番の原因はやはり、寝坊だった。


が、二人の怒られ具合に恐れてしまった私は、咄嗟に別の理由を捻出したのだ。

結果、寝坊の二人に比べ、軽いお説教で済んだ。


受検会場に辿り着くまでと、言い訳を考え出す時間の猶予。

二人は、気の毒なことに、私に二度も利用されてしまったのであった。
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