わたしは好きな人が二人います



卒園式当日~





その日は雪も溶けてきていて
そろそろサクラの季節に変わろうとしていた日だと思う。




お母さん、お父さんに感謝の言葉を
みんなと口をそろえて大きな声で伝えた。


歌も歌い終わると
一人一人の名前が呼ばれて
卒業証書をもらう。




「大崎翔真くん!」


「はいっっ!!」


ガタッと元気よく自分のイスを後ろに倒しながらも、立った男の子が
わたしの大好きな人の一人
『おおさき しょうま』


軽く茶色のかかった髪の毛。
キリっとした目元、キレイな顔立ち。
要するに、大人顔。
クール系だ、とお母さん達から絶賛されてるが
もちろん、外見だけ。


おちゃらけるの大好き、
面白いこと大好き、
先生を困らせていた問題組の一人。


卒業証書を手にもって
嬉しそうに笑う翔真の顔を見て、
わたしは本気で考えていた。


翔真と結婚しようかな…。



幼稚園生ながらも、
この時からわたしは
きっと、本当の恋愛をしていたんだと思う。



ステージから降りていく翔真を
ずっとみつづけながら、
そんなことばかり考えていたのは
今でもよく覚えている。
< 3 / 38 >

この作品をシェア

pagetop