秘め恋*story1~温泉宿で…~
その後、想像してたよりも豪華な夕食を部屋でゆっくり味わった。
料理を運んできたのが、酒井くんじゃなかったことがちょっと残念。
今夜はもう来ないのかなぁ。
夕食を食べてる時も、あの酒井くんの慌てた顔が思い浮かんでちょっとニヤケた。
何歳なんだろう。
彼女いるんだろうか。
なんて、1人寂しい30代の女が意味もなく、可能性もなく、自由に頭の中で考えていた。
「あ、そうだ。足湯いこ。」
ここ、足湯もあるって書いてあったなぁ。
思い立って、部屋を出た。
そして足湯へと向かう。
と、その途中。
「酒井くんってゆーんだぁ。
私達、東京からなんだぁ。よかったら、色々あんないしてよー。」
東京から来たきゃぴきゃぴギャル達にナンパされてる酒井くんを発見。
そりゃ、声かけたくなるわな。
だって、可愛いもん、酒井くん。
「東京からですかぁ。遠くから、ようこそ。
私で良ければ、ご案内しますよ。」
ほら、あの悩殺スマイル。
ほら、東京ギャル達大喜び。
「私達、今から部屋で呑むから酒井くんも仕事終わったらおいでよー。待ってるからー♪」
「あ、はい。ありがとーございます。」
ーーーーギュッ。
あれま?なんか胸がギュッてなった?
この前の健康診断特に以上なかったけど。
まさか、30代にして更年期!?
年々感じる身体の変化にため息をつき、
足湯へと向かった。
ーーーーーーーー
「気持ちー。」
旅館の後ろ側に足湯はあった。
木々に囲まれた、自然のなかの足湯って感じ。
木のベンチに座りながら足湯に浸かり、月を見上げた。
どこかでカエルの鳴き声がする。
来るとき田んぼがあったしなぁ。
「酒井くん、ギャル達と呑んでるのかなぁ…」
酒井くん、鈍そうだったし、襲われちゃったりしないかなぁ…。
あの女子達、完全に肉食系だったよ。
心配だぁ。
なんて、心配する一方、ちょっと悔しいようなヤキモチみたいな気持ちが沸いていた。