黒豹〜Black Panther〜
「……黒豹に会ったのは、今日」
「なんで、会った?」
スカートを握り締める手に力が入る。
あれを言わなきゃいけないのが……辛い。
この、真剣な空気を……壊す気がする。
「お昼に友達が購買に行くっていうから一緒に行って外で待ってたの……」
「友達って、永倉さん?」
「うん……」
藍の話は颯兄には良くしてるし、覚えててくれたんだ……。
「妹の友達の名前覚えてるって……颯汰こわー」
「壱哉は黙れ」
場の雰囲気をやっぱり壊す壱哉さん。
その壱哉さんを牽制するような目で見る颯兄。
「颯ちゃんも壱もうるさい。瑚琴ちゃんが話せないでしょ?黙ってよ……瑚琴ちゃん、続けて?」
言い合いが始まってしまいそうな二人を奈々さんが止める。
そして、三人の視線がまた私に集まる。
「……待ってたら、人が多くて動こうとしたら……」
「黒豹のやつに捕まったのか?」
「ナンパされたの?」
「颯汰も奈々もうるさいよ~」
やばい……言いたくない。
「……転けちゃって……その時に前にいた黒豹の人のこ、こ……こ……」
「「「こ……?」」」
も、もうどうにでもなれ……っ!
「股間に頭がぶつかっちゃったの……っ!」
穴が合ったらいますぐ埋まりたい……。
「……は?」
「……え?」
「……股間?」
一瞬皆が考え込んで黙った後に想像していた通り大爆笑された。
颯兄は、笑いをこらえようと口を押さえていたけど肩が思いっきり震えていて、その隣の奈々さんも肩を揺らしていた。
「……あはははははははっ!」
隣の人は、ソファーの上を転がるようにお腹を抱えて大爆笑していた。
目尻に涙まで溜めて……。