キスに秘められた大粒の涙
それは…
女の子にとっては、一大イベントの告白!!!




それなのに・・・
どうして溜め息しか出ないんだろう。




その理由は、私こと水川鈴(ミズカワ リン)は、先ほど好きな人に呆気なく振られたからである。


たくさん女子力を上げて頑張ったのに



『ごめん、付き合えない』と



彼が言ったその一言で、一気に私の想いが溢れ返ってくる。



片想いしている時が、どんなに幸せだったことか。


告白してしまえば、儚く水の泡と溶かす。



幸せだった日々の記憶もメチャクチャになるし、しかもそれだけじゃなかった。



『彼女出来たから
もう俺に付きまとわないでくれ』



ストーカーみたいな言い掛かりをつけられて

しまいには、私の想いが一方通行みたいなでしゃばりされて




告白なんかするんじゃなかった。




私の恋っていつもそう。
結局は振られて、相手に嫌われるだけ。



4月上旬の暖かな季節に私は、振られた。

振られた。

振られた。



″振られた″の言葉が私の頭の中でリピートする。

これで何度目だろうか…。


振られたことしか今は頭にない。
何度も何度も
頭の片隅で、繰り返し記憶が過る。


忘れたい記憶も全て。
大切な、幸せの記憶までもが吸いとられそうで恐い。


そう思った時
ふと、新緑の匂いが鼻にツーンとほのかに香った。
これはミントの香りなのかな?

ハーブみたいで、心が少しリラックス。


そろそろ桜が咲く頃か…

大きな桜の木を眺めながら、妄想の余韻に浸った。
あちこちでもう、桜の蕾が出てる。



満開の桜が咲いたら、好きな人と一緒にお花見がしたかったなぁー。


一緒にわいわいして、桜の花びらが髪の毛に付いたから取ってもらったり…


カップルがするような極普通の事だけど、それが幸せなんだと思う。
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