片恋
「・・・失恋しちゃったの。」

あたしは急に羽夕に言った。

「え?大原先輩と?」

「そういうことかな。」

羽夕は信じられないっていう顔をしていた。

「ホントだよ。」

それでも構わずあたしは続ける。

「どうして?告白したの?」

「うーん・・・あんま口では言いたくないから今日とかにメールするね☆」

「うん・・・大丈夫?」

「おっけぇおっけぇ!ノープロブレム!」

あたしはいつもの調子で笑った。

しばらく間が開いた後、ふと羽夕が顔を上げた。

「新しい恋はしないの?」

「えーーーーーーー///?!」

あたしは顔を少し紅色に染めた。

「顔が赤いよ~!誰かホントは気になる人がいるんでしょぉ!」

「い、いないよぉ!」

「うっそだぁ~!吐け吐け!!」

「無理無理!好きとかじゃないし・・・」

「やっぱ居るンじゃん♪教えてよ?」

「いーやっ!居ないもーん!」

あたしは少し口をプクーッと膨らませた。

「こりゃぁ、言え!」

「ダメダメ!」

「あ、じゃぁ言わなきゃ菜々にいっちゃおーっと!」

羽夕は意地悪く笑った。

「それだけはダメーっ!」

ここでいう“菜々”とは羽夕の親友で情報を盛んに持っている女の子だ。

(菜々に言われちゃったら無理矢理でも吐かされる!)

あたしは10秒後、羽夕に言った。

「沖田先輩だよ・・・。」

と、弱々しく。

「あっらぁ!!沖田先輩やったんすかぁ♪♪キャー///」

「もっ!言ったらダメだよ!」

「しらなぁい~~聞こえなぁい~」

タッタッタ

「あ、羽夕!」

羽夕は舌を出しながら生意気な顔して

「バイバイ!」

と言って走り去った。
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