恐怖の友達
そうして呪われた男の一人、神尾充は背中に友達を連れて外に出た。
いつもは、普通の人が走るくらいの速度で歩く充。
だが、今の彼の歩く速度は並の身体能力を持つ人間の半分以外。
「あーダリィ。サボっかな」
充は通学路から一本ずれた。
学校に行けば霊感の鋭い人間は3人はいる。
行けば助かる可能性はあったのに。
充は知らない。太陽が地に落ちて、暗闇の世界が訪れた瞬間に自分の頭がが後ろに物凄い力で引かれ、首がゴキリと悲鳴を上げて折れる事を。
愚かな事に学校の反対の歓楽街に向けて足を運んだ。
ノロノロと。亀のように。
いや、亀ならば一万年生きる。
だが、彼の命は後22時間。
草木も眠る深夜2時に命が消える。
今は未熟な精神だが、将来は立派なプロ野球の選者となり、引退した後は口が悪く厳しいが、面倒見が指導者となる若者が死ぬ。
悲しい事に運命が物凄い早さで書き換えられた。
人間にはなってはならない友達がいる。
その友達は娯楽の世界に潜み獲物が掛るのを辛抱強く待っている。
悪の少ない時代には彼等にはこれほどの力がない。
今の世の中は神を軽んじ過ぎた。
悪魔が力を増していた。
それでも、この状況は異常。
一千万分の一の確率で二人の男は呪われた。
永遠に逃れられない悲惨な運命に愛された。