あの頃のキミはもういない
『現実』ー雅也said
「!」


あ……夢か。

あー。
何で今更こんな夢見るかな。

俺は佐川雅也。

今日から高校生。


正直ダルい。


本当は中学卒業したらそのまま働こうと思ってた。

でも親父が高校にちゃんと通ってから働けって言うもんだから仕方なく。

俺の親父は大会社の社長だから逆らえねぇ。
逆らったら何されるか分かったもんじゃない。


だからガキの時からずっと親父の言うことをはいはい聞いてた。


学校に行くのがダルいからわざと遅刻するように時間を遅くして家を出た。

案の定、学校に着くと入学式は終わっていた。

俺の予想通りだな(笑)


まだクラスの貼り紙は外されていないらしく、俺のクラスは3組だと分かった。



静かな廊下を歩いて教室へ向かった。



ガラガラッ

教室のドアを開けた瞬間、一斉にクラスの視線が俺に向いた。

そんな見んなよ……。

「お前、入学式から遅刻とは良い度胸だな!」

「うるせーな関係ねぇだろ」

ウザい教師を無視して、俺は空席を見つけてその席に向かった。

「なっ!」

あー。
マジうるせぇ。


ん?

あいつ……。

俺の隣の席のあいつってまさか……

ー「雅也君……」ー

間違いない。
愛奈だ。

何で愛奈がここに……?

そりゃ、愛奈の家はこの高校から近いけど……でも……だからって……。



俺は愛奈との再会を心から素直に喜べなかった。

何故なら俺はもう……愛奈と言葉を交わすことが出来ないから……。


愛奈のことを気にしながらも長い先生の話を聞いていた。

というより受け流していた。



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