┗先輩の秘密

「そろそろいいんじゃないかな」



クラブ紹介が終わり、会場の椅子の片付けを手伝いながら、朝倉先輩の様子を伺っていた杏が言う。


先輩は自分の持ち場を片付け終えて、残り少なくなった椅子の片付けを手伝い始めていた。



「いいのかな?」


変に思われないだろうか。いざ、聞く段階になると不安になってしまう。


「もうっ!かんな!怖じけづいてたら、真相聞けないよ!ほら行こ!」

「……うん。よし!」



杏に手を引かれて、私は遂に心を決めたのだった。





~SIDE 朝倉京平



「あの、すみません」



椅子を片付け終わり、出口に向かおうとしたところに、声をかけられ振り返る。

見れば、声の主は、昨日の入学式でクラスを聞いてきた女の子達だった。


確か、黒髪の子が八木さんで、茶髪の子が松井さんだっけ。

記憶を辿り、名前を思い出す。


二人は、どこかそわそわした様子で、俺を見上げていた。



「どうかした?」



黙ったままの二人に話を促すと、

松井さんが八木さんの脇腹を「ほら」と、肘でこついた。


どうやら俺に話があるのは八木さんの方らしい。


こつかれた、八木さんは、意を決したように口を開いた。
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