MOONLIGHT
オサムにくわしく経緯を話した。
事務長がかなり精神的にやられていることに電話で気がついていたらしく、仕事を調整して今日はこちらに戻ったということだった。
「結局は、俺たちの自業自得なんだけど。お嬢様育ちで、ずっといい暮らしをしてきた人だから今回の事が耐えられなかったのかもしれない。」
オサムが深くため息をついた。
「そう。私は専門じゃないからなんとも言えないけど。こういう病気って、心の中だから誰にも見えないし。一番つらいのは本人だし…結局は、自分の中で一つ一つ認めていくしかないんだよ。だけど、家族が一番大きな力になるんだから、支えてあげて。子供がうまれるんだから、もしかしたらそれが希望になるかもしれないわ。」
そう言うと、何故かオサムは下を向いた。
「この間は言わなかったけど……じつは。離婚したんだ。」
「えっ?だって、子供が…。」
「・・・俺の子じゃなかった。」
「はっ!?」
「考えてみたら、俺避妊してたし。ずっと不倫してたんだと。で、そっちの男が離婚が決まって、俺んとこがこんな風になったから。金の切れ目が縁の切れ目って、ヤツ。」
ああ、だから私さえいなかったら、って事務長が言っていたんだ。
完全な逆恨みかもしれないけど。
そう思わないと、いられなかったのかも。
「そっか。じゃあ、なおさら辛いね…。事務長、大切にしてあげて。」
もう、私にはどうしてあげることもできないし。
冷たいようだけど、そこまではできない。
もう、私たちは別々の道を歩いているんだし。
だけど――
「レイッ!!」
息を乱しながら、私を呼んだのは、将だった。
つかつかと歩いてくる様子は、かなりご立腹だ。
青山さんが、また余計な事でも吹き込んだんだろう。
もう。
話がややこしくなるだけなのに。
そう思っていたら、かなり強引に抱き寄せられた。
将を落ち着かせようと、口を開きかけたけれど先に。
「別に、レイの事を疑ったりしていない。レイが俺を裏切るようなことはしないってわかってる。だけど、こいつといるのがムカつくだけだ。仕事で一緒にいられない時に、こうやってわけがあるにしろ…俺以外の男と話をしているのが嫌なだけだ。」
将の瞳はキラキラと輝いて。
強い想いが私に向けられているのがわかる。
私は、将に笑顔を向けた。