桜の蕾が咲く頃に
翔太と撫子は突風のごとく走り去った
「ーーったく、どうして時と場合を考えられないんだよ」
はぁと久遠はため息をつき、私は呆れて何も言えないし、藍斗は相変わらず外を見ている
「もうそろそろ俺も帰るな……、藍斗っ! もう帰るぞ」
「……俺は亜奈に話があるから先にかえっててくれ」
窓の外を見ながら藍斗が久遠に言った
「ああ、分かった。先に帰っておくな」
物分りの良い久遠はそう言うなり病室を出て行った