当て馬ならし
小競り合いは始まっているみたい
件の本を返しに行く為、
書庫へ向かって中庭を
歩いている時だった。

朝食で仲良くなったのか
それ以前からなのか
花嫁候補の二人が、
談笑しながらこちらに向かって
歩いてきた。

クスクス笑いながら
花壇になにかを投げ込んだ・・・
私がいるのに気が付いて
いないようだ。

心を覗くと、そこには
小さな劣等感を満たすための悪戯
見下して溜飲を下げる行為で
満足感を得ているそんな心がわかる。

厳選された8人だと思ったけど
・・・残念・・・
そんな事を思っていると、
相手が私を見つけたようだ。

小声だけどワザと聞こえるように
「当て馬姫って
 言われてるんですってぇ」
「有名よね・・・
 恥ずかしくないのかしら」
そういいながら歩いてくる
私は、極上の笑顔で
聞こえてなかった態で挨拶をする。

「ごきげんよう。」

たじろいだのは向こうで、
睨まれた。
お子ちゃまボディーには
私の色気は刺激的かしら?
< 157 / 437 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop