当て馬ならし

第五話 当て馬嬉し

「というわけで
 これは名誉の泥なのよ」

マジックポーション研究所から
帰ってきて馬車から降りると
玉砂利の庭園を真っ黒ローブが
横切っているのが見えた。

書庫に向かっているのだろうか。

なんだか、あのスフィアを
見てきたという報告をしたくて
花束を持ちそのまま書庫に向かう。

中に入ると
やっぱりラル王子は
面倒くさそうに
椅子に掛けて本を読んでいた。

興奮して話し出す私
役人さんの熱意や、
スフィアの綺麗だったこと
小瓶のデザインが可愛いいのに
それを作っている職人さんが
強面だったことが可笑しかったこと、
試飲したポーションの液体が
甘すぎて美容的に気になるって話
昼食の羊肉がおいしかった話
に至るまで、
だまって聞いてくれるのを
いい事に話しまくる
そして最後は花束を渡してくれた
女の子の話をした。
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