当て馬ならし

第六話 当て馬淋し

朝日に照らされて輝く
ピコランダの城下町を
わたっていく澄んだ風

今日一日の始まりを告げる鐘の音
舗装された通りは
既に店を開ける人々が動き出している。

この小さな丘から見る
ピコランダの景色も
お気に入りの一つだった。

いつもなら、私がここに着くと
わらわらと豪快な兵士たちが
「よぉ、姫さん」とか
「今日は勝ちますよ」とか
いいながらやってきて
準備運動・打ち込み・手合せ
と言う感じで稽古に付き合いながら
自分たちも適当に体を動かしている。

夜勤明けの彼らは
疲れているだろうに、
それを微塵にも感じさせない。
その後、私に格闘を見せた上で、
何かしら勝負を持ちかけて楽しんでいる。

私もそれがすっかり日課になっていて
稽古が終わって
ハトナにお風呂の準備をしてもらいながら、
こんな事があったと
笑い合うまでが朝の恒例だった。
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