ページをめくって
「何かあったらどうしようって心配してるけどさ」

「うん」

「……元彼から殴られたりしてたの?」

「ううん、そんなことはないよ」

「じゃあ、大丈夫だよ」

「……でも」

「まあ、元彼と今彼が会うわけだから、気が気じゃないだろうけど」

そうだよ。

気が気じゃないんだよ。

この間はただの設定だったけど、今は本当のことだもの。

すごくすごく心配なんだよ!

「だから一人で行きたいんだよ?」

じっと見上げた。

「うん、わかってる。大丈夫。一緒に行っても何もないから」

和馬は私の頭を何度も撫でて言った。

私は抱き締められたまま頭を撫でられて、結局うなずいてしまった。

もう私、本当に意志が弱い。

あんなに一人で行こうと思ってたのに。
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