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和馬のキスはやっぱりすごく優しくて、苦しいくらい甘やかされる。

胸の奥が痺れるようにキュンと痛くなる。

「……はあ、んっ」

吐息まで飲み込まれてしまう。

目の前にある感触だけに支配される。

こんなの、耐えられない。

まともに立っていられなくなってすがりつくと腰から強く抱かれて支えられた。

息だけが聞こえる。

どこかに落ちていく感覚。

チュッと音をさせてゆっくりと唇が離れたから酸欠みたいに口で息をした。

何も考えられなくて、潤んだ瞳で和馬を見上げる。

「……その瞳は、ダメだよ」

和馬は私の頭を自分の胸に押しつけて、腕の中に閉じ込めた。

「もう、ネジなんてない」

「わわっ」
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