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和馬がゆっくりと近づいてくるのがわかっていたのに、ピクリとも動けなかった。

頭の後ろに手が伸びてきて、髪に指を差し込まれる間にだって、拒むこともできたのに。

全然動けなかった。

……動けなかったんじゃない。

またあの時みたいにしてほしい。

和馬の瞳を見つめたまま、強く望んでいた。

吸い寄せられるように柔らかく唇が重なって、すぐに深いキスになった。

舌が重なって夢中になる。

さっき思い出して、ドキドキした感触。

望んでいた感触。
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