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それにしても、あんなに泣いたら明日の朝、目が腫れてしまうかもしれない。

「今、冷やすもの持ってくるね」

冷凍庫にあった保冷剤をタオルにくるんで戻った。

顔に当ててあげるとハルは最初すごく驚いたけれど「気持ちいい」と言って微笑んだ。

「そんなに泣いたら腫れちゃうよ」

僕がそう言うと、ハルは保冷剤を持った僕の手に触れた。

少し震えてる?と思っていたら、喉をひっくと言わせて泣き出してしまった。

「どうしたの?」

「……あのね、私、和馬に大事にしてもらっている感じがする」

「そりゃあ、大事だからね」

「すごく、すごく嬉しいの……」

ハルは肩を震わせて静かに泣いていた。

そんなの、抱き締めないではいられなかった。

抱き締めて首筋に顔を埋めた。

「ハルのことが大事だよ。そんなの泣くようなことじゃないよ。僕がハルを大事なのは当たり前だって思ってもらえるまで、当たり前になってからもずっと大事にするから」

そう言ったら、僕にしがみ付いてもっと泣き出してしまった。

泣かないでほしくて言ったのに。

今まで大事にされなかった?

今までの分も全部取り返してあげるよ。

今まで大事にされなかった分の全て、僕が大事にする。

いろいろ言葉で伝えたいけれど、今日は気持ちが昂っているのかハルはすぐに泣いてしまう。

今日は静かに抱き締めているだけの方がいいのかな。
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