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「怜奈さんって和馬の許婚なんでしょ?」

「違うよ!」

そうきたか。

婚約者より許婚の方が古臭いし曰くがありそうな感じで嫌だな。

「だって怜奈さんって和馬の師匠の娘さんなんでしょ?」

「そうだよ」

「もう結納も済んで、結婚式の日取りも決まってるのに、こんな泥棒みたいなことをして、許さないって言われたの」

「それはデタラメだよ」

そんな話を信じたのか。

ハル、純粋に人を信じ過ぎちゃいけないよ。

「デタラメじゃないよ!写真も見たよ?和馬、あの人と結婚しないといけないんでしょ?」

写真ってどんな写真?

「きっとその写真はね、正月にでも挨拶に行った時の写真だと思うよ。結婚しないといけないなんて、そんなことありえないよ」

「だって!」

ハルは僕をじっと見た。

「何?」

「あの人と結婚しないと、和馬もう仕事ができなくなるって聞いたよ!」

「はあ?」

そんなわけないじゃない。

どこの世界の話?

でもハルは僕らの世界を知らないから、そういうこともあると思ってしまったんだろうか。

怜奈はどうせまた、カタギとか言ったんだろうから、ハルは驚いてしまったのかもしれない。
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