ページをめくって
「うん。でもね……」

「ん?」

「でも、どんなに悔しくても、ハルに励ましてもらうと勇気を貰えてまた前に進めたんだよ」

「……」

また、そういうことを恥ずかしげもなく言う。

「ハル、憶えてる?」

「うん。小学生の頃の話、だよね?」

「そうそう」

ふと、「大丈夫だよ!」って私が言った時の、和馬の幼い笑顔を思い出した。

「あれはなんとなく、和馬が笑ってくれるのが嬉しかったし、子犬っぽくって可愛かったし。そんなに深い意味はなかったんだけど」

「子犬!?」

「あっ、……うん」

「まあ、そうだとしてもね。僕はハルがいたから、ここまで来れたと思うよ。僕はずっと君に救われていたんだよ」

資料をまとめて、トントンッと端を揃えながら和馬はちらっとこちらを見た。

私は急に恥ずかしくなって、うつむいた。
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