極上笑顔の上司

いくつか言葉を交わすと、
海人部長は受話器をおいて、

「加藤さん、もう一度兄さん・・・
 じゃなかった、
 呉羽部長から内線があったら会議室に回してもらえる?」

「はいっ。」

「だめだなぁ。呉羽部長って言いにくくて。」

あはは。

少し困ったように海人部長は笑った。





私は、いつもの様に
マグカップにコーヒーを注いだ。

ふいに、後ろから声がかかる。

「あぁ、ついでに僕のも入れてくれる?
 高梨さん。」
「はい。部長。」

部長がよく使うカップを取って
コーヒーを注ぐ。

一つだけ角砂糖を入れて
くるりとかき混ぜた。

「どうぞ、部長。」
「ありがとう。高梨さん。」

にっこり微笑まれて、
私から、
マグカップを受け取る。






そんな、
いつもの光景。


いつもの様に仕事が始まる。





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