極上笑顔の上司

「あのぉ・・・海人部長
 呉羽部長から内線です。」

「え?兄さんから?」

不意に
声がかかり、
海人部長は軽く手を挙げ徳留さんをあしらう。

おもいっきり不服そうに彼女は
しぶしぶと引きさがりながら
内線を受けた
利理ちゃんを一瞥した。

利理ちゃんが悪いわけじゃないのに、
利理ちゃん仕事してるだけなのに。


あはは。
すごいいなぁ。徳留さんのガッツ。



「なんだろな。
 加藤さん、そのままその受話器、かして?」

「はっ。はい。」

思わず声が裏返りそうになりながら、
受話器を渡す。

ありがとうと言いながら、
にっこりと
利理ちゃんこと、加藤さんに微笑む。

利理ちゃんは、
はにかんで、頭を軽く下げた。



そうだよねぇ、
海人部長の悩殺笑顔を真正面から受けたら、
そりゃ照れますよ。

私は、うんうん。

とうなずきながら、
マグカップにコーヒーを注いだ。


「はい。海人です。」

あぁ。
やっぱり
優しい声。


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