春河家は今日もドタバタです。

「遊佐君と砂靭君は、橙梓君とは知り合いなんだよね?」
「はい。」
「こっちに来てすぐ、妖の森で迷子になっちゃって(笑)その時に、橙梓さんと蒼さんに助けてもらったんです。」
「それから、妖の森の事とかいろいろな事を教えてもらったりして。」
「いい先輩です(笑)」
「そっか。それにしても、祇儀さんはどうしてこの場所にいるんだろう?」
「おそらく、奥方様に判らないように緑涼さんとの会話を聞いていたのだろうと、清澄さんは言ってました。」
「やっぱり(笑)祇儀さんは本当、凛香の事好きなんだな。」

正嗣は、そういいながら、マグカップのブラックコーヒーをゆっくり口の中に流し込んだ。

「とりあえず、朝ごはん食べましょうか(笑)」

テーブルの上には、ベーコンエッグとコンソメスープ、そしてパンと牛乳。4名分の朝食が美佐子の手で綺麗にセットされていた。遊佐と砂靭は、その朝食を見るなり眼をきらきらさせながら驚いている。

「遊佐君も砂靭君もどうしたんだい?そんな驚いて。」
「いや、その・・・」
「こんなに綺麗な朝食、見たことなくって!!」
「いや、そんな、綺麗なんて(笑)」
「い、いただいていいんですか?」
「遠慮なくどうぞ(笑)」

「「いただきます!!」」

もりもりと朝食を平らげていく遊佐と砂靭に、正嗣も美佐子も驚きっぱなし。その光景に思わず箸を止めてしまうほどだった・・・。

その頃、春河家では・・・

「「いただきます。」」

橙梓と朱桜が同じテーブルで食事を始める。
まだ、ぎこちない部分がたくさんあるが、少しずつ歩み寄っているように見えていた。

「よかった、同じテーブルで食事できて。それに、いつもよりほんの少し食べる量も多いし(笑)」
「そんなに食べてなかったんですか?橙梓さん。」
「うん。ひどい時だと、三日三晩、飲まず食わずで病院に運ばれた事もあったし。あの時は本当に、やばいと思ったよ。」

蒼と月見は縁側からそんな話をし彼らの光景を見つめていた。月見は時折、蒼にばれない様にその顔をちらっと見ては、さっと逸らしていた。彼女のそんな恋にも似た感情を、椿は微笑ましく感じるのであった。

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