Special to me
☆プロローグ~side MAKO~
突然の雨。

駅に着いて、改札を出たものの、傘がなくて屋根のあるところから外に出られない。

朝、テレビで雨が降るなんて気象予報士の人は言ってなかったじゃん。
"今日は一日中晴れるでしょう"っていう言葉を信じた私が悪かった。

いや、気象の専門家じゃないから、天気図見たって、空を見上げたって今日の雨は私の力では予想できないから、やっぱりテレビの天気予報が悪い。

でもね、何でみんな傘持っているの?
駅に着く人みんな傘を差して家路を急いでいる。

そのうち、雨宿りをしているのが私ひとりになった。

家までここから歩いて10分。
走ったら濡れる。

いや、私は濡れてもいい。

でもね、ここに、今日預かった原稿があるの。
ビニールではなく、ただのA4の大きさの紙の封筒に入っているのを手に抱えている。

こんなことになるのなら、これが入る大きなカバンを持ってくればよかった。

新入社員の頃から、確実に持って歩いていたんだけどなぁ。

でも、今日これを持って帰るとは思わなかったし、いつものシステム手帳が入る程度のカバンで出勤してしまった。
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