Special to me
『どうしてずっとホームにいたの?』

「米原さん・・・いや、晃樹のことがどうしても分からなくて、ここにいれば、何かヒントがあるんじゃないかと思って・・・最近は、ずっとあんな感じでした」

『そこに初めて僕が居合わせたんだな。他の助役ならともかく、僕ならもっと早く気付いていたはずだから』

そう言って曽我さんは持っているマグカップのお茶をひと口飲んだ。

「私、どうしたらいいんでしょう。晃樹の心の中が読めなくて。私は"特別なお客様"になりたいのに、最近じゃ、"ただのお客様"で」

『君は、米原のどこが好きになったの?』

「制服姿の彼の姿です。ずっと、ワンマンやホームにいたはずなのに、私のために傘を貸してくれた時の彼の目は特別なそれだったので、そこで私は落ちました」

"フフ"と笑った曽我さん。

『素直だね、君は』

「だから、私は晃樹の役に立ちたいとずっと思っているのに・・・全部晃樹がやってくれて、ごはんも作ってくれるし、部屋は掃除する必要のないくらい綺麗だし、私の誕生日にはケーキまで焼いてくれて・・・私の出る幕がなくて」
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