Special to me
『そして、トランク1つ持って1人暮らしの俺のアパートに来て、"私を養ってください"だって』

そこから1年かけて彼女の実家を説得して・・・2年前、ふたりは結婚した。

『結婚はしたけど、会社を辞めさせてしまうくらい彼女を追い込んでしまった俺の負い目は、今でも消えなくて。トランク持って来た時の彼女の覚悟を決めたあの表情は、今でも鮮明に覚えているよ』

"だから"と、純さんは姿勢を正した。

『真子には、美優紀と同じ思いはさせたくないんだ。元旦のあの日、俺だけじゃない、その場にいた美優紀も同じ気持ちでいる。晃樹くんと真子できちんと話して、将来の結論を出して欲しい。決して独りよがりはしないこと。これが今日、俺が晃樹くんに言いたかったことだ』

「純さん・・・」

妹を思う気持ち。

それ以上に愛する妻を思う気持ち。

俺は、貴重な話を純さんから聞けた。

「純さん、ひとつお尋ねしてもいいですか?」
『何?』

「純さんは今、幸せですか?」

俺の質問に、純さんは微笑みを浮かべた。
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