Special to me
『もし、俺のために何かしたいと思うのなら、とにかく俺の傍から離れないでいて欲しい。この1ヶ月、今までの人生で一番、辛かったから。仕事で失敗ばっかりで、危うく始末書もので』

両手をハンドルの上に置いて、うなだれる晃樹。

『そのくらい、俺の心は、真子でいっぱいだから』

そう言って私を見ると、力なく笑った。

「私も、晃樹依存症」

そう言うと私は、私を見つめてくれていた晃樹にキスをした。

『仕事、行けよ』
「うん」
『俺はでも、遠慮なく真子を好きでいるから』
「うん」

『だから、今からお前は、家に電話をしろ』
「わかった」

晃樹が言いたいことは大体わかった。

だから私は家に電話をして、今日は帰らないことを伝えた。

お母さんからは"純から聞いているから、大丈夫よ"と言ってくれた。

ダメだ。

私は涙腺が弱くなっている。
お母さんの言葉は大したことないはずなのに、泣いてしまった。

『ごめんな。真子には笑っていて欲しいのに、今年はずっと、そんな顔ばかりさせちゃったんだな』

そう言うと、助手席のシートを倒して、私に深いキスを落としてきた。

そして、唇が塞がれたまま、私の着ているコートのボタンを外し、中に手を入れてきた。
< 120 / 255 >

この作品をシェア

pagetop