Special to me
「こちらで、おひとりで暮らしていらっしゃるんですか?」

私は、ひとつ話題を提供しようと、自分からこういうのお母さんに話し掛けた。

『そうよぉ。去年お父さんも亡くなったし、今じゃ悠々自適な生活。あとはさやかさえ嫁に出てもらえれば、言うことなし』

晃樹の妹のさやかさんはまだ仕事から帰ってきていない。

『この年になってもまだ娘のためにご飯を作らなきゃならないのかねぇ。実家にいればどうしても甘えちゃうから、いい人見つけて結婚すればいいのよ。そうなれば、必要にかられて家事をやるようになるから』

私には耳の痛い話だ。

そして私を見た晃樹が笑いを堪えきれずに吹き出した。

『真子も、実家におんぶに抱っこだからね』

優しい口調が少々イヤミに聞こえる。

「私、頑張るもん…」
『お願いだから私に料理を習いに来るとか家事を教わりに来るとか、そういう嫁みたいなことはしないでね、真子ちゃん』
「え?」

今から結婚する話をしようとしているのに、嫁として認めないってこと?

『ちょっと、母さん困るんだよ。今の言葉じゃ、真子が誤解するだろ?』

"しまった"と言った表情をして口を手で押さえたお母さん。
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