Special to me
『でも、その応援はスパルタだったよ。鉄道事業法、鉄道営業法とか遺失物法とか、法律に関わることも試験の範囲だし"覚えること"については、プロ中のプロだから』

曽我さんはそう言って笑った。

『さ、食べましょう。出来たよ』

と言って、プロ顔負けな料理を用意してくれた千尋さん。
法律家のエリートは、料理も上手なのか。

"天は二物を与えず"なんて言うけど、絶対千尋さんは違うよね。

『まだ、お仕事続けているのですか?』

晃樹が千尋さんに聞く。

『うん。来月中旬くらいまでは続けるつもり。でもさすがに法廷には立てないから、後方支援だけどね』
「そこから、産休ですか?」
『そう。早く生まれてこないかなぁ。待ち遠しくて』

全員ダイニングのテーブルについて、千尋さんが自分の大きくなったお腹を撫でながら言う。

『ギリギリで、僕が宗岡駅にいる間には生まれそうですね』
『そうか。米原さんも車掌修業するのかぁ。真子ちゃん?車掌になったら一度旦那の車掌姿、見に行くことを勧めるよ』

千尋さんはそう言うと横に座る曽我さんをじーっと見た。

『な、何だよ』

たじろく曽我さん。

そして、向かいに座る私達に向き直った。
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