Special to me
「ダメ。座って」

と、俺は彼女をの両脇に手を入れて、強引に淵に座らせた。

『どうしたの?』
「真子、逆上せちゃうよ。顔が真っ赤だぞ」

本当なら、このまま上がらせなきゃならないんだろうけど、俺はもう少し真子と露天風呂トークを続けたかった。

『晃樹、あなたは何でそんなに優しいの?』

真子は恥ずかしさで体を縮ませた状態で俺に聞いてきた。

「優しい?真子だからじゃん」
『でも、駅ではお客様のために動いているんでしょ?』
「あれは、仕事。今は、俺が大好きな真子のためにやっていることなんだから、全く別の話だよ」

すると、真子は俯いた。

『あり・・・がとう』

恥ずかしかったのかな。

でも、真子をこのまま淵に座らせておくと、体を密着させることができない。

それにもどかしくなった俺。

さっき、真子の"女の顔"を見てしまったから。

「ここから出よう」
『うん』

風呂を出て、脱衣場で耐えられずに俺は真子に後から抱きついた。
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