ウェディングドレスと6月の雨
 穂積さんの右手は髪から耳へ、耳から首へと移動した。そしてパジャマの上を這い、ボタンの辺りで止まる。ゴソゴソとする首元、ボタンは外されて。ずっと私の唇を占領していた穂積さんの唇は下へ下りていく。顎、首、鎖骨。


「穂積さ……ん……恥ずかしい」
「何故」
「明かり……消して」
「駄目だ」
「えっ!」
「冗談」


 穂積さんはクスクスと笑うと、起き上がる。


「あの、きゃあ!」


 そしてお姫様抱っこ。ふわりと宙に浮く。そして穂積さんは私をベッドの上にそっと下ろした。そしてTシャツを脱ぐとベッドの上に乗った。わたしを跨ぐ格好。両手を私の顔の脇に突いて。


「成瀬」
「はい」


 上から見下ろされる威圧感。


「激しいのと優しいの、どっちがいい?」
「どっ……ええ?」


 クスクスと笑う。からかわれた。


「優しい方でお願いします……」


 少しふてくされるように返事をすると、穂積さんはキスをした。軽いキス。そして耳もとで囁く。


「……分かった。じゃあ、優しくする」



< 239 / 246 >

この作品をシェア

pagetop