ウェディングドレスと6月の雨
穂積さんは高ぶった自分に気付いて、私から目を逸らして大きく息を吐いた。コーヒーメーカーがコポコポと音を立て始める。そして部屋にいる私の元まで苦みのある香ばしい匂いが届いた。
「噂好きのえげつないハイエナに肉を投げるようなもんだろ……」
そう、呟いた。
穂積さんはきっと、周囲からの冷たい視線に黙って耐えてる。それは自分のためじゃなく、きっと、彼女を守るために……。
不倫ってもっと可笑しく楽しくやってるかと思ってた。体だけの関係って割り切って楽しんでるのかと思った。けど、籍があるかないかの違いで、普通の恋愛と変わりはないのかもしれない。ううん。もっと重たいものを抱えてる気がする……。
コーヒーメーカーの音が変わる。コポコポという音からシューシューと湯気だけを吐く音になる。穂積さんはカップにコーヒーを注ぎ、部屋に戻ってきた。
「済まない」
「いえ」
「つい、アンタだと本音が出る。熱くなって悪かった」
遠くを見ながら穂積さんはコーヒーを啜った。