引き立て役よさようなら(番外編追加)
男の人でもマイバッグを持っているんだと感心してしまった。
だが、そんなことを思っている場合じゃない。
「すみません。私急いでいるので失礼します」
頭を下げ回れ右をしようとしたら
「ねえ・・・近くまで送ってこうか?荷物重そうだしさ・・・」
桜沢は車のキーをクルクル回しながら駐車場を指さした。

この人の車になんか乗ったら何されるか
わかったもんじゃない。
「結構です。」
そう言って歩こうとするが桜沢の手が優花の持っている
マイバッグを奪う様に取る。
「な・・何するんですか?」
慌ててマイバッグを取り返そうとするが背の高い桜沢が
マイバッグを持ち上げながら駐車場に向ってすたすたと歩き出す。
「ちょ・・ちょっと・・お願いだから返してください」
懇願するように言うと。
「彼に早く作ってあげたいなら・・・さっさと乗りな。
 別に君を取って食ったりしないから・・・」
そう言うと車のロックを解除して後部座席の足元にマイバッグを置いた。
「早く乗って…俺もこれから仕事だし・・・」
それでも優花はなかなか車に乗る気になれずにいた。
それは達央の事を思っての事だ。
何もないと言われても
達央以外の男の人の車に乗るのは嫌だった。
でも優花のマイバッグは人質の様に既に桜沢の車の後部座席の足元だ。

優花は心の中で達央にごめんなさいと謝り、渋々車に乗った。
本当は後部座席に座りたかったが
書類があるからダメと言われ
< 109 / 320 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop