引き立て役よさようなら(番外編追加)
桜沢は達央の反応を楽しむかのように口角を上げる。
「・・・・」
「確かにあんたの言う通りだよ。今の俺はこの時間が静かに過ぎてくれれば
いいと思った。全力でなんて全然守りきれてない・・・
でも優花は渡せない・・いや渡さない。俺のもんだ」
悔しそうに唇を噛む達央の姿をみて優花が何かを言おうとしたが
桜沢は首を横に振って止めた。

そして視線を優花から達央に向けた桜沢は・・・
「だったら、態度で示せよ。俺が納得できる様な対応しろよ。
 俺にあんな啖呵切った様に・・・・じゃなきゃ今度こそ
どんな手を使っても優花ちゃんを奪うぞ!」
いつも淡々と喋る桜沢からは想像も出来ないくらい
力強い口調が店内に響いた。


達央は黙って席を立つとママに視線を合わせた。
「ごめん・・・ママ。また今度寄らせてもらうよ。
ママは表情を変えず
「いいのよ。また来て頂戴」
達央は優花の手を掴むと店を出た。
優花は手を引っ張られながらも桜沢の方を見た。
すると桜沢は「がんばれ」と声に出さずに手をひらひらさせてた。
それだけで優花にはわかった。
それが桜沢の優しさだった事が・・・・
優花は頭を下げるだけで精一杯だった・
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