引き立て役よさようなら(番外編追加)

1カ月半ぶりの再会

「もしもし・・・」
「もしもし、今どこ?」
「家にいるけど・・・もしかしてメールみて電話くれたの?」
「そりゃ~あんなメール送られたら普通は電話すると思うんだけど・・」
達央は本当は凄く優花の声が聞きたい、会いたいと思っているのだが
何となく気恥しくって素直になれないでいる。
でもそれは優花も同じで
桜沢との事で落ち込んでいる時にタイミングよく電話をくれた達央に対して
うれしさでいっぱいだった。でもそれをうまく言えないでいた。
「ごめんなさい。明日ライブで一番忙しいはずなのにあんなメール送っちゃって」
本当は電話くれてありがとうって言いたかったのに・・・
素直になれない自分に苛立ちを覚える。
「何言ってんの?俺は・・・サブローだよ。優花はサブローに会いたいって
メールしたんでしょ?」
確かに達央さんに会いたいってメール入れたら忙しくても電話なんかしてきちゃいそうだったから
あえてサブローに会いたいって送っちゃったけど・・・
どっちにしろ迷惑かけてたのかもしれないと思うと優花は胸が痛くなった。
「・・・ごめんなさい。あれは間違って送っちゃったの。だから・・・おやすみなさい」
そう言って電話を切ろうとすると
「俺も会いたい・・・」
囁くような声が電話から聞こえて、終了ボタンを押す事が出来なくなった。
「でも・・・明日は大事なライブがあるでしょ?
そんな時に私なんかと・・・」
「ライブ前だからこそ・・・会いたいんだ」
達央の言葉に嘘はなかった。
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