私がお嬢様をやめる時
あの豪邸は
もぬけの殻になってしまった。

兄と3人で相談して
あの家は売りに出すことになった。
家族の思い出がつまった家だったけれど
私たちには広すぎた。



お父様は私の学費は卒業まで
面倒を見てくれると言った。

でも、それ以外の援助は
一切お断りをした。



水嶋は会社に退職願を出した。
でも、会社は水嶋を手放すわけもなく…
水嶋は今
一流の執事を育てる側の仕事を
任せられている。

そして、家ではこうして
私の一般女子としての教育をしている。

あんなに寂しかった日常が嘘のよう。
水嶋が笑ってそばにいる。


もう私は
自分よりも劣る人を探して
優越感に浸ったりしない。

へそ曲がりでワガママな私は
まだ健在だけど

水嶋が私の性格を少しづつ
時間をかけて直してくれる。

私にはもう豪邸も使用人も
高い洋服もジュエリーも
エリート執事も必要ない。






私がお嬢様をやめる時

私は幸せを手に入れる。



ーENDー







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