おにぎり屋本舗 うらら
 


地面に背中と後頭部を打ち付け、目に火花を見た。

砕けたガラス破片がコートに刺さり、頬は数ヶ所切れていた。



圭は呻きながら、よろよろと身を起こす。


そして…

目の前に地獄を見た。



市役所が燃えていた。


入ろうとしていた玄関からも、窓からも火が吹き出し、もうもうと煙りが上っていた。



爆発音が再び響く。

それは、かなり上の階から聞こえた。


数回の爆発音を聞いた後には、19階建ての建物全体が火に包まれた。



それを間近に見ながら、
圭は呟いた。


「母さん…」



母親は死んだ。

火が吹き出すこの状況を見れば、悟らないわけにいかない。



為すすべなく立ち尽くし、ショックの余り泣くことも出来なかった。



見上げると、5階辺りの窓に大勢の人影が見えた。


彼らは燃えていた。

燃えながら窓から這い出し、落ちてくる。



火だるまになった人間がボタボタと落ちて、息絶える。



男か女かも分からない炭になる。

その中には、体の小さな子供もいた。



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