おにぎり屋本舗 うらら
小泉は繰り返し読んで頭にインプットしてから、
苦労して手に入れた情報を消去した。
USBメモリー自体も、半分にへし折り抹殺した。
読んでいる最中は、うららに対し憎しみに似た感情が湧いてきた。
それと同時に、湯傘の娘として生まれてしまった彼女もまた、
教団の被害者なのだと弁護したい気持ちにもなった。
心の中が定まらず、不快で気持ち悪かった。
そして読み終えた今は…
予言めいた湯傘の言葉に、焦りのようなものを感じていた。
娘の腹を借りて生まれ変わり…
小泉は嫌な予感がしていた。
いや、それは予感などではない。
解体したはずの破壊の光が、再生している気配をしっかり感じているからだ。
小泉は自分のデスクで、難しい顔して考え込んでいた。
朝日は高く上っている。
SMRのメンバーが次々と出勤してきた。
コートを脱ぎながら、知本が話しかけた。
「小泉警部、昨日帰らなかったのですか?
何か急ぎの案件、ありましたか?」