おにぎり屋本舗 うらら
 


その問いに小泉は、独り言のような返事をする。



「これは…急ぎなのか…それとも、まだ当分の猶予があるのか…」



「警部…?」




小泉は立ち上がった。


朝会は開かねばならない。

SMRメンバーの報告と意見を聞き、それぞれに指示を出す。



それが終わると、真っ先に対策室を出て、足早にどこかに向かっていた。



着いた場所は拘置所。


黒飴覚醒剤事件で逮捕された高須文也は、まだ真実を話していなかった。


捜査第4課、麻薬取締部は、高須を起訴できずにいる。


何としても全てを吐かせ、全貌を明らかにしてから起訴したいと、高須を手元に置いていた。




小泉は4課の中年の刑事と共に、高須の所へ。


高須は固い床に座り、背を壁にもたれていた。


鉄格子の向こうの彼は、逮捕時よりやつれた印象だった。



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