おにぎり屋本舗 うらら
 


SMRは20人で構成されている。

少数のメンバーで同時進行で抱える案件は、常に7、8個だ。



そして今、新たにSMRが動かねばならない事件の容疑者が捕まえられた。


司令塔の小泉は、この場を知本に任せ、仕方なく本庁に戻ることにした。




renew human companyのオフィスを出ようとした時、急に廊下が騒がしくなる。



事務の女性が言う。


「人が集まって来ましたね。

15時から隣の広い会議室でセミナーが始まります」



小泉はドアノブに手を掛けたまま、止まっていた。


ガヤガヤ騒がしい声の中に、聞き慣れた声を見つけたからだ。



「ワハハ」と笑うその声は……



小泉は慎重にドアを数センチ開け、廊下の様子を覗き見る。



聞き慣れた声の主は、誰かと会話していた。



「ほうほうそうでしたか。
さすが野村さん。市場を読むのが上手いですな。

ですが、私に教えていいのですか?儲けが減りますぞ?」



「亀田さんだから教えてもいいと思ったのですよ。

同じセミナーの常連じゃないですか。

大丈夫です。亀田さん以外には教えません」



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