幸せの花が咲く町で




(……なぜだ?)



ソファの周りには、買い物の山があった。
どうにも気持ちがざわざわして、小太郎のおもちゃや服の他、日用品や食料品…いろいろなものを衝動買いしてしまった。



つい先日、高い買い物をしてしまったばかりだというのに、僕は一体何をやってるのかと、激しい自己嫌悪に陥った。



「パパー
お腹減った!」

「小太郎、今日はファミレスかピザにしよう。
パパ、買い物で疲れたよ。」



結局、それからファミレスに行って、食事をした。
何を食べても、味がよくわからない。



頭の中には、昼間の光景が何度も繰り返されていた。



小学生くらいの男の子と、篠宮さんのあの光景だ。
振り返った時の篠宮さんの笑顔……
まさに、愛しい者をみつめる表情だった。



あの子は、小学生の三~四年生だろうか?
僕に背を向けていたから顔は良く見えなかったけれど、とても元気の良さそうな少年だ。



一体、どんな家庭なんだろう?
どんな旦那さんなんだろう?
確か、北口の方に住んでるって言ってたけど、どんな家に住んでるんだろう?



篠宮さんのいろいろなことが知りたくなった。
知ったところで何かがどうにかなるわけじゃない。
いや、むしろ、苦しくなるだけだ。



(苦しい……?
なぜ?なぜ、そんなことで苦しくなるんだ!?)



「……パパ?どうかしたの?
さっきから固まってるよ。」

「え……?」

僕は片手に肉を刺したフォークを持ったまま、ぼーっとしていたようだ。



「あ、あはは。
ちょっと考え事してた。」

「何考えてたの?」

「うん……今日はたくさん買い物しちゃったから、ママに怒られるかなぁって……」

「大丈夫だよ。
僕も一緒に謝ってあげるから。
それに、ママ…きっと怒らないよ。
ママもいつもいろいろ買ってるし。」

確かにそれはそうだ。
なっちゃんは、バッグやら靴やらをよく買って来る。



「そうかな?
でも、今日はすいぶん遣っちゃったぞ。
ついこの前、高い茶箪笥買ったばかりなのに……」

「でも、ママも綺麗な指輪買ってたから大丈夫だよ。
あれもきっと高いと思うよ。
宝石ってすっごく高いんだもんね?
ママのはものすごくキラッキラだったから、多分、三千万円か、一億万円くらいしてるかもしれないよ。」

「……一億万円もしてたら大変だな。」



小太郎のお蔭で少し気持ちがほぐれた。
あのことを突き詰めずに済んだ。
わかってるけど、うやむやにしておきたい僕の気持ちを……


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