幸せの花が咲く町で

＊



「おばちゃーん！」

「あ、小太郎ちゃん！お帰りなさい！」

「篠宮さん、こんにちは。」

「こ、こんにちは。
今日は暖かいですね。」

「暖かいというより、暑いですね。」

「あ、そ、そうですね！」

数日ぶりにあった篠宮さんはどことなく様子がおかしいような気がした。
笑顔はいつもと同じように思えるのだけど、あたりをきょろきょろしながら、どうも落ち着きがない。



「パパ、帰ったらあのピザ食べて良い？」

「おやつも食べるんだろ？
じゃ、少しだけだぞ。」

「うん、わかった！」



＊



「すっごくおいしい！」

小太郎はおやつのプリンよりも、例のピザの方を喜んで食べている。
せっかく昨夜のうちに作っといたのに…と、複雑な想いを感じつつ、小太郎の笑顔を見ているとそんな愚痴は言えなくなってしまう。



（それにしても、篠宮さんはどうかしたんだろうか？）



そんなことを考えた次の瞬間、僕は思わず失笑した。



また考え過ぎの癖が出てる。
何もたいしたことじゃない。
きっと、何か急ぎの用でもあっただけだろう。
もっと楽観的にならなきゃな……



自分にそう言い聞かせ、僕は無理に笑みを浮かべた。