幸せの花が咲く町で
＊



（これからどうしよう……？）



決定的なところを見たわけじゃないけれど、あの二人の様子を見れば、いくらカンの鈍い人でも二人がただならぬ関係だってことは簡単にわかるはずだ。
あの二人が行ったのはきっとホテル……
もし、あの男性が独身だとしたら、自宅ってことも考えられる。
車で移動してるとなると、今後も尾行するのは難しい。
私は免許も持ってなければ、バイクにも乗れない。
タクシーに乗ってあの駐車場の傍で待ってる？
でも、遠くに行かれてしまったらお金の問題がある。



（困ったなぁ……）



ああだこうだといろんなことを考えてみたけれど、良い策は思いつかなかった。
要は資金的な問題だ。
情けないけど、私には今貯金はほとんどない。
毎月のお給料は、生活費に消えてしまう。
こんなことなら免許を取っておけばよかったと思うものの、今更そんなことを考えた所でどうにもならない。



もうこれ以上は、何もする必要がないということかもしれない。
二人が付き合ってることに間違いはない。
二人が一緒にいるところをもう三度も見てるんだもの。
それを確認出来ただけで十分だ。



（私に出来るのはここまで。
でも……だったら、何のために毎週桃田まで通ったんだろう？
本当にこれだけで良いのかしら？）



そんな疑問が心に残った。
けれど、いくら考えても、それ以上どうすれば良いのかもわからず、悶々とした気持ちはさらに大きく広がった。
< 226 / 308 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop