幸せの花が咲く町で




「あ、なっちゃん。
花屋の山野さんが、今度の土日のどっちかに来ることになったんだけど……」

「山野さんが?
どうかしたの?」

「うん……実はね……」

僕は、今日、山野さんから聞いた話をなっちゃんに話した。



「えーーっ!そうなの?
えらく急な話だね。」

「そうだね。
最初は奥さんと子供はこっちに残ろうかとかも思われたみたいだよ。
でも、最近になって、やっぱり皆一緒でいたいって思われたみたい。」

「……そうだよね。
家族はみんな一緒なのが一番だもんね。」

結局、山野さんは土曜日に来ることになり、なっちゃんはその日仕事があったみたいだけど、それを休んで家にいてくれることになった。
なのに、当日の昼になって、急な用が出来たのでやっぱり明日行きますとの連絡があった。







「ごめんね、なっちゃん……せっかく、休んでくれたのに……」

「あんたが謝ることないじゃない。
まぁ、たまにはゆっくりするのも良いよ。
あ、小太郎……三人で公園でも行こうか?」

「うん、行くーーー!」



暇になったので、僕達は公園に行くことにした。
僕としては、花屋の傍には行きたくなかったのだけど、なっちゃんにはそんなことは言えない。



「あ、香織さーん!」

なっちゃんは僕の気持ちも知らずに、篠宮さんの姿を見かけて駆け出していった。
小太郎もそれに続く。



僕だけは通りを横切り、一人、ゆっくりと公園に向かった。
土曜日とはいっても、人の数は少ない。
じりじりとする陽の光を避け、日陰のベンチに僕は腰掛けた。
見るとはなしにぼんやりとあたりを眺めながら、なっちゃん達が来るのを待った。



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