幸せの花が咲く町で




「送って来たよ。」

「ありがとう。
あれ?亮介さんは?」

「泊まっていきたいなんていうから、帰らせた。」



亮介さんは昔からなっちゃんにぞっこんで……
だから、なっちゃんがいつも偉そうにはしてたけど、思ってた以上のかかぁ天下っぷりにちょっと驚いた。



「なっちゃん…さっきの話だけど、亮介さんと復縁するってことは、当然、亮介さんと一緒に住むってことだよね?」

「うん、そのつもり……
あいつの家、戸田野だから、まぁ近いっていえば近いんだけど……」

「戸田野……」

ここからだと、電車に乗れば6つめだ。
きっと、健康な人にしてみればなんともない距離だろうけど、僕にはそれなりのハードルに思える距離だ。



「あ、すぐってわけじゃないし、それにあんたの生活は……」

「大丈夫だよ。
僕もそろそろ働いてみようって思ってたし、家賃はいらないからバイト程度でも食べていけるし……」

「本当に働いてみる気ある?」

「……あるよ。」

それは見栄から出た言葉だった。
僕にはまだそんな自信はない。
けれど、そんなことをなっちゃんには言えない。



「ま、心配はないよ。」

「そうだね……でも、全く知らなかったよ。
なっちゃんと亮介さんがずっと会ってたなんて……」

「ごめん。仕事だって言ってたけど、遅くなったり土曜日に出かけてたのは、亮介と会ってたからなんだ。」

「そう……僕は鈍いから、全然気付かなかった。
でも、亮介さん……相当、頑張ったんだね。
良かったよ。」

「実は……」

なっちゃんは急にもじもじしてなかなか話さず、どうしたのかと思ったら……



「実は……こたに弟か妹が出来るんだよね。」

「え?弟か妹……えっ!?」

「それがきっかけかな。
出来なかったら、まだやり直すかどうか決められなかったかもしれない。」

「そ、そう……そっか……」

なんとなく気恥ずかしく、僕はそれ以上、何も言えなかった。
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