エンビィ 【完】
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――…
習慣のように、
あるいは憑りつかれたように、小瓶の個数を毎夜数える。
色が黒に変わる境目と、最後の白になる境目で、あたしはいつも数秒止まってしてしまう。自分を落ち着かせるように瞑目して、そして数えるのを続ける。
そんなあたしを、百瀬は何も言わずにジッと見てくる。
鏡越しに視線を合わせれば、その瞳は気兼ねした色。
そんな目で見ないでよ…、
初めのうちはそう喚き散らしていたのも遠い昔に感じるほど、憑りついた、慣習じみた儀式。
「百瀬」
「はい」
「美容室予約しておいて」