エンビィ 【完】




―――1
―――2
―――3
―――4
―――5
――…




習慣のように、

あるいは憑りつかれたように、小瓶の個数を毎夜数える。



色が黒に変わる境目と、最後の白になる境目で、あたしはいつも数秒止まってしてしまう。自分を落ち着かせるように瞑目して、そして数えるのを続ける。


そんなあたしを、百瀬は何も言わずにジッと見てくる。

鏡越しに視線を合わせれば、その瞳は気兼ねした色。


そんな目で見ないでよ…、


初めのうちはそう喚き散らしていたのも遠い昔に感じるほど、憑りついた、慣習じみた儀式。




「百瀬」


「はい」


「美容室予約しておいて」




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