エンビィ 【完】




「まるで尻拭いをしているようで、謝罪なんてしたくはないのだけど。伊織お兄さまが、貴女の気分を害するようなことを言った原因が、私にあるようですから」



なにそれッ…

嫌々謝ってるって意味…?




「悪かったですわ」



それは形だけの謝罪。


その証拠に、

頭を下げるなんてことはしなかった。




「お詫びといったらなんなのだけど、今度食事に招待してもいいかしら?」



……お詫びが…食事…ですって…?


その程度のお詫びで、

あたしの心にねじ込まれた、怒りと、そして鈍い痛みが消えるわけないじゃないっ…。




「………遠慮しとくわ…」



あたしに謝るってゆうのなら、

それ相当の……土下座、ユキノからの土下座が欲しい。






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