一瞬の、夏。
リハビリだから、
ゆるゆると意識が戻る。
ゆっくり、目を開けると明るかった窓の外はいつの間にか暗くなっていた。
こんな時間になっても起こさないのは、お母さんの配慮なのかな、なんて思いながら、体を起こす。
あの時の感触も、全部、内に押し込めて。

人に好奇心なんて、
  興味なんて、
持つ権利は、わたしにはない。 

これはリハビリだから。
自分に言い聞かせるように、もう一度唱えて高見澤先生への返事を決めた。
< 7 / 8 >

この作品をシェア

pagetop